チャレンジ・ザ「一日回峰行」!

その2からの続き)

ホントに修行の地だろうか?

午前四時、西塔に入る。ここまでは道幅広く順調である。 にない堂、そして西塔の本堂である釈迦堂をすぎると、いつしか雨は止んでいた。

この後は一気に玉体杉へ。 黙々と直線コースを歩む。時折、右手に森がサッと切れて、ドライブウェイがすぐ傍を走っていると知る。 「そっちを歩いた方が、どれだけラクなことか」という想いが脳裏をかすめる。 そこはグッとこらえて、懈怠にムチを当てる。

マジメに歩くほど、昨夜の坊主が思い出されてならない。

昨日は東塔の延暦寺会館に泊まった。 十時就寝の前に喫茶を兼ねるロビーへ行くと、白衣の坊さんがちらほら。

読経の練習をする一僧以外は、タバコ飲む者、コーヒーすする者、喫茶店のウェートレスに色使う者。 会話を聞けば、西武がどうの、巨人がこうの。車はスカイライン、いやブルーバードがいい。修行どころのサワギではない。

「千日回峰行の道順を教えて下さい」と老僧に聞けば、「ワシャ、やったことないからわからん。ア、そこに本があるから、それを見りゃわかるじゃろ」 「それで分かっていりゃ、誰が聞くかい!」と心で叫んだが、まあ仕方がない。

二本の大木が重なる玉体杉に着き、チョイと一服。比叡三十キロの行程中、腰をおろせる唯一の場所だ。 行者はここで、はるか京都御所に向かって祈願する。それも何だか嫌な私は、根元のカエルを捕え、「仏縁あれかし」と祈願するだけだった。

かなりへばってしまった。 何せ、ロクに準備運動もせず、ぶっつけ本番で回ろうという考えが甘かった。 八十四キロなる距離は、高岡−金沢間を往復するより多く、東京山手線の二・五倍、大阪環状線のナント四倍にあたるのだ。

ああ、気が遠くなる。